オマエ(の声)が好きなんだ!

戻ってきてほしいんだ

 あー。自己嫌悪しかない。オレさまは最低な大人だよ。 ん? なあんだよネズ、逃げんなよー。話を聞いてくれよ。1杯奢るって言っただろ。……1杯じゃ割に合わない? 分かったよ、3杯な。ほら隣座れって。 オマエ何飲むの? オレさまが飲んでいる酒?…

幕間:眠れまで傍にいるね

 1日の終わり。夜の帳が降りてゴーストタイプのポケモンたちが活発になる時間。 ポケモンたちへの手入れを済ませ日々のルーティーンをこなしたキバナは、意気揚々とベッドへ潜り込んだ。 キャンプを前日に控えた子どものように目を爛々と輝かせ、スマホロ…

デートってこんな感じかなと思って

「こんばんは~。今日もお仕事ご苦労様です。頑張った君も、そうじゃなかった君も、この動画を聴いて癒されてね」 ポケチューバーのマリチマは、特注のマイクを使って、毎日決まった曜日に1時間から2時間ほどライブ配信をする。 ジェルクリームで耳のマッ…

何をそんなに慌てているのですか

『本当の自分、忘れてない?』 休憩室にあるテレビから聞き覚えのある声がしたので、キバナはスマホから視線を上げた。 テレビ画面には、猫背で冴えない女性が俯いて歩いている。 おもむろに取り出したアイシャドウがキラリと光った瞬間、景色が変わった。…

オマエはコメディアンじゃないだろ!

『今日もお仕事お疲れ様』『あ、スクール帰りなの? それともポケモン勝負? もしかして、お家でお休み中だったのかな?』『今日も1日頑張ったあなたに、癒やしの音をお届けです』 ナックルシティのジムリーダーであるキバナには、最近お気に入りの動画配…