第3章:転売ヤー絶許 - 11/12

 レディーとエーフィは男たちの手に渡った。戦闘不能になった状態で、ゾロアークに運ばれている。回復させてやりたいが難しそうだ。第一、回復したところでまたやられるのは目に見えているからな。可哀想だけど、ちょっと我慢していてくれ!

 転売ヤーたちは私の前を歩いている。黄色い着物の男の手には縄が。私を縛っている縄に繋がっているんだ。犬の散歩。リードですわ、これ。ウォロに同じことされたことがあるけど、あっちのがマシだよ。

 転売ヤーたちは何か話しているけれど、私の処遇についてではないみたいだ。一向にこっちを確認することはない。普通、こういうのって、私の後ろに誰か配置しないのかね? 逃げたらどうすんのさ? まあ、縄で縛っているからそんな気は起こさないと踏んでいるのか。確かにね、抵抗する術もないし、ただの女だし、なんの脅威にもなんないか。

 ……せいぜい、そうやって油断しておけばいい。むしろ私のしていることに気付かないでくれ。ポタポタと垂れ落ちる赤いものを血だと思っていてくれ。あの時、“めかくしだま”と一緒に引っ掴んだものを上手く隠し持っていてよかった。ウォロから貰った塗料が赤くて助かった。こうして袖口からうまい具合に滑らせて、純白の雪道に道標を付けることができる。

 わざと煽って殴られたから、こうして自然にあいつらを欺ける。もしも途中で気付かれたって、印を消すためにわざわざ引き返すことはしないだろう。

 ただ、問題は……。そろそろ、塗料が尽きそうだってこと。ちょうど、塗料を詰め替える時に転売ヤーを見つけたらから、中途半端な量しか残っていないのだ。取られてしまった背囊に塗料の予備があるのだが、あいつらが背負っているから取りにいけないんだよなあ……。

「あのー。アジトってえ、まだなんすかね。あとどのくらい?」

 転売ヤーのひとり、黄色い着物の男がじろりと睨みつける。

「あじとぉ?」
「あ、ねぐらです。あんたらの言ってた、ねぐら? 拠点? まであとどのくらいかなー、って」
「教えるわけないだろ」
「っすよねー」

 そうだよなー。もうすぐそこなら、塗料の心配なんかしなくていいんだけどさあ……。自分の血、はさすがにないな。もう止まっちゃったし、貧血でいざとなったら逃げられません、は避けたいな。

 カイちゃんたちのためにも、この憎き転売ヤーたちを一網打尽にするためにも、アジトの在り処は把握しておきたい。そうじゃなきゃ、前世の童話『ヘンゼルとグレーテル』もどきなんてしないってえの。

 そっと後ろを振り返る。点々、小さくなってきた。量がもうないんだ。どうしよう。何か、代わりの物はなかったっけ? もぞもぞと動いてみる。うーん、やっぱ縛られていると身動き取りづらい。手の甲がズボンのポケットに触れた。

「あ……!」

 そうだ、あれがあった。そっか。移し替えの時に……。あの時バタバタしてたから……。
 いや、でも、これいけるのか? 目印にはならないと思うんだが。だってこれ、無色に近い。雪に垂らしたらどうなんだ? う、うーん。でも、やらないよりはマシか。もう一度、転売ヤーに話しかける。

「あのー」
「ちっ。またかよ。今度は何だ!」

 じゃあ反応しなきいいじゃん、私を殴ったお前。短気。ポケモン虐待のクソ野郎。でも下っ端っぽいもんね。御用聞きはあんたの役目なんだね。

「用を足したいんですけど」
「知るか」

 まあ、そうなるわなあ。

「漏らせってことですか。まあそれも致し方なしですが、拠点についたら湯浴みとかできます? あんたらの使っているところがどんな所か知らないけど、同じ空間で臭いに耐えられます?」

 転売ヤー4人組は、すごく嫌そうな顔をした。拠点に着いた時、こいつらが私に対してどんなことをしようとするのか、なんとなく想像はついている。ポケモンを虐待するくらいだし、なんかもう、ありとあらゆる「ダメなこと」をするのに抵抗はないと思うんだよな。ほら、犯罪的な……(そうならないためにも、早くカイちゃんたちが来てほしい)。なるべく身体は綺麗にさせておきたいんじゃないかな。

 リーダー格の男は私を品定めするように頭の天辺から爪先まで観察し、「背は小せえけどなあ……まあ他は……」と呟いたあと、ぐいっと顎をしゃくった。

「しょうがねえ。おい、てめえら一旦止まれ。おら、とっとと厠でも行って来い。妙な真似したら……、分かってんだろ」
「はーい。今更逃げませんて」
「おら、見張りとしてついていけ」
「へえ」

 緑の着物の男(私とカイちゃんの後ろに現れたあの4人目の男だ)は雪がこんもり積もった所まで私を連れて行った。

「縄、さすがに腕だけは自由にしてもらえないっすか? こう、片手だけ縛る形で」

 ズボン降ろせないんで、と言えば舌打ちが返ってきた。無理矢理降ろされるかと思えば、意外にも私の言う通りにしてくれた。片手首にだけ縄をつけて、端っこを男が持つ。

「そこの影のとこに行ってきます。あ、見ないでくださいね」
「見ねえよ。うるせえ、早く行け」

 短気な男ならここで殴ってんだろーなー。いやー、油断してくれて助かるわー。何もできないって思われてよかったわー。

 なるべく全身が隠れるよう、雪でできた小山にしゃがみ込む。袖に隠していた塗料の瓶を確認してみたが、やはりほとんど空になっていた。今度はポケットの中をまさぐり、「例のあれ」を取り出す。

「やるしかない、か……」

 覚悟を決めるか。例え自分を犠牲にしても、あいつらは絶対捕まえる。
 転売だけじゃなくて、ポケモンに酷いことをしていた。他にも余罪はあるはずだ。ええと、何だっけ。テン、テンモーが痒く、毛髪が痒くじゃなくて、何だっけ? 「お天道様が見ているから悪いことはできないんだぜ」みたいな言葉が前世にあった気がしたんだが……。まあとにかくね、転売ヤーは絶対許さない。絶許。

「悪いことをした報いは、受けてもらう」

 ぎゅっと「例のあれ」を握りしめる。ここからこれが、カイちゃんたちの道標。私にとっての命綱だ。

 しかし、無意識でこれ、ポケットに入れてたんだなあ、私。……入れてたんだろうなあ。ああ、うん。そうだよな。トゲまるが泣いたらいつでも出せるように突っ込んでたんだわ。トゲまるがいるなら、気付いてくれるよね。だってあの子は食いしん坊だもん。

「おい、まだか」

 ぐい、と縄が引っ張られる。

「今行きますうー!」

 袖口に「例のあれ」を隠して、私は男たちの元へ戻った。

***

 シンジュ団の長・カイがシンジュ集落に戻ってきたのは、すっかり日が暮れて夜の気配が濃くなった頃だった。

「誰か助けて! 早く、早く!」

 息を切らせて駆け込んできた彼女は、偶然集落に居合わせたシンジュ団のキャプテン・ノボリに助けを求めた。

「ポケモンに暴力を振るう輩がいて! それが転売もしていて、それで、それで……!」

 ノボリは彼女を落ち着かせて事情を聞き、すぐさま人員をかき集める。そして、すぐに話はイチョウ商会のリーダー・ギンナンへ伝わった。
 商会内でも、新人の姿が見えないと騒ぎになっていたのだ。

「新人といるのは、てんばいやーかもしれない。行きたい者は挙手しろ。仲間を傷付けたてんばいやーに、一矢報いる時だ」

 ギンガ団にはポケモンとの戦闘に腕が立つ者を要請した。〈純白の凍土〉で活動している団員が数人いたようなので、シンジュ集落で落ち合うことになった。

 それから――。

「ウォロも来てくれるのか」
「はい。まあ、心配なので」

 ウォロも新人捜索に加わることになった。

「ギンナンさん。新人さんは無事でしょうか」
「平気でポケモンを傷付ける連中だろう? あまり想像はしたくないが」

 ギンナンが帽子を目深に被って俯いた。暴力を振るう父親から新人を救い出したことを知っているので、ウォロは「必ず助けましょう」とだけ言って、その場を離れた。

(あの少女は、いつも無茶をする。ただの人間のくせに)

 選ばれた人間ではないくせに、いつも無茶をする。

 実は彼女と出会った時、ひょっとしたらアルセウスの加護がある人間ではないのかと疑ったことがある。ポケモンを怖がらず、時代と他人に縛られない自由な思考の持ち主だったからだ。もしかしたら、何か特別な力を隠し持っているのではないか、神に選ばれた存在ではないのか、と一種の期待と嫉妬を抱いていた。

 どういうわけかあの少女は、ウォロの後をついて回った。まさか、ジブンのやろうとしていることがバレている? 警戒しつつ、彼女の正体を暴いてやろうと思った。正直迷惑ではあったが、彼女の情報を多く知りたかった。

 決定的だったのは、 少女が〈紅蓮の湿地帯〉で川に落ちた時だった。

 助けようか迷った。アルセウスの加護がある者なら、川に落ちても死ぬことはない。何かしらの奇跡があるはずだ。

 しかし、少女は一向に浮かんで来なかった。

 ああ、彼女はただの人間だったのだ。落胆と、優越感。ほんの少しの憐れみをもって、ウォロは彼女を助けた。

 風変わりな行動は、きっと生い立ちが関係しているのだろう。ギンナンから彼女の過去を聞いたウォロはそう結論付けて、今日まで「先輩と後輩」で過ごしてきた。いや、ずっとこれから先、そうであるつもりだ。

(しかし、興味が尽きないのは、何故だろう)

 突拍子もないことをしでかすくせに、たまに、妙に大人びたことを言う。ウォロが考えもしなかった視点で物を言う。

(絶対ワタクシではできないことを、彼女はする)

 シンジュ団の長から大まかな事情を聞いた。何を馬鹿なことをと思った。さっさと逃げればいいのだ。自分の命が惜しくないのか。夢があるからこんなことで死ねないと、遭難しかけたあの日、言ったではないか。

 向こう見ず。無鉄砲。
 何の力も持たない、凡人。
 だのに、ポケモンだろうが人間だろうが、目の前の人間が窮地に陥っていたら助けに行く。

(そう、凡人。だがワタクシは、あの少女を突き放すことはできない。まだ何かを隠し持っているのではないかと……)

 だから、彼女を助けに行く。間近で見てやりたい。あの子は何を思うのだろう。散々人の悪意に晒され踏みにじられてきた彼女の精神は、今、どうなっているのだろう。

***

 濃い闇を纏った夜が鎮座していた。月は出ているが時折灰色の雲で隠れてしまって、視界は良好とは言えない。おおよそ人捜しには向いていない日だ。
 ふわふわ、ゆらゆら。風に揺られてフワンテやフワライドが辺りを漂っている。彼らの鳴き声は聞こえない。雪が音を吸収してしまうからだろうか。

 沈黙が落ちる純白の雪道を十数人の隊列が行く。点々と続く赤い印と足跡を追って。
 ガチグマの調子が悪いので、今回は捜索に加われなかった。困難が予想される。長い夜になりそうだ。

「消えかけているが、十分見えるな」

 新人はウォロが渡した塗料を使って雪に印を付けたらしい。
 カイが先導して印を辿り、例の転売ヤーと出会った場所へ辿り着いた。

「ここで、てんばいやーらしき人間に会ったのか?」

 ギンナンの問いに、カイはうなずいた。腕の中でトゲまるが「ちゅっき〜」と笑顔で答えた。置いていくと泣くので連れてきたそうだ。

「酷く荒れているな」

 純白の雪は踏み荒らされ、ポケモンの毛や赤い色が混じっていた。

 ノボリが雪に残った足跡を観察する。

「どうやら、戦闘があったようでございます。1匹、相当強いポケモンがいますね。なかなか手強そうです。足跡からして、6匹と5人。エーフィ、グレッグル、ユキカブリ――」

 その場にいたポケモンの名前をピタリと当てていく。カイ以外の人間たちからどよめきが上がった。このキャプテン、足跡からそこまで読み取ることができるらしい。

「わたしを逃すためにエーフィとグレッグルが足止めしてくれた。その時のものだと思う」
「なるほど。では、この血は、戦闘で怪我を負ったポケモンの?」
「そうだといいが」

 誰もが明言を避けた。もしかしたら、危害は商人の少女にも及んでいるかもしれない。この赤い点々が塗料なのか血なのか判別がつかない。

「塗料も足跡も向こうに続いている。行こう」

 捜索隊は進む。先ほどより足早に。

 月はすっかり分厚い雲に隠れてしまった。はらり、とひと粒の雪が降ってきて、ウォロの肩に乗った。夜空を見上げれば、フワンテが風に吹かれて、右から左へ流されていく姿が見えた。冷たい風が頬を叩く。

(吹雪にならなければいいが)

 しかし、ウォロの思いに反して雪が強く降ってきた。粉雪が止めどなく降り積もり、足跡を消していこうとする。

(アレには彼女の居場所が分かるのだろうか)

 ウォロは、とある世界に追い出されてしまったポケモンと手を組んだ。そこらを歩いているポケモンとは全く違う、強力な力を持つポケモンだ。アレならばすぐにでも転売ヤーと彼女の居場所を突き止めそうなものだ。残念ながら念じるだけで意思疎通を図れないため、人気ひとけのない場所に移動する必要がある。小休止のタイミングを見計らって抜け出すか。

(いや。何もあの小娘にワタクシがそこまで骨を折る義理などない)

 早く助けたいと思っているわけではない。苦痛の時から解放してやりたいわけでもない。
 世界は善でできていると言わんばかりの、輝かしい笑顔が歪む様を、見てやりたい。
 間近で、この目で、焼き付け、ほくそ笑んでやりたいだけだ。

「印がない」

 先行していたギンガ団のひとりが戸惑いの声をあげた。雪の上には様々なポケモンや人の足跡が重なっており、判別が難しい。おまけに雪が足跡を消す勢いで降っている。

「奴ら、途中で別れたのか?」
「三方向に続いているなら、隊も3つに分けますか?」
「いや、それは危険じゃないか? 何かあった時、野生のポケモンに対処できる人間が減る」
「てんばいやー側に強いポケモンもいるんだろう? 迎え撃つために人数は減らしたくないな」

 ヒスイガーディが地面に鼻を近付け匂いを嗅ぐ。新人の少女が使っていた毛布を嗅がせ、彼女の行方を探らせるが、ガーディは沈黙を貫いている。

「クソ……」 

 誰かが悪態をついた。ここに来て手掛かりが途絶えたのは痛い。部隊に緊張が走る。

「――」

 ギンナンが少女の名を呟いた。俯いているので表情は伺い知れない。拳が震えているのが見えて、隣にいたウォロはそっと視線を反らした。

(どこだ。どこにいる)

 精神が摩耗するような感覚に襲われる。頭がギリギリと締めつけられるようだ。心と身体が分離して、周囲の音が遠くから響いてくる。

(うるさい。分からない。ワタクシは何を求められている? 何をしろというのだ?)

 ――神は、乗り越えられない者に試練は与えないって言うじゃないですか!!!!

 あの少女の言葉が蘇る。

 アルセウスが我々を見守っているのなら、試練を与えたのならば。

(では、これがワタクシの乗り越えるべき試練なのか? この焦りが?)

 この気持ちをどう形容したらいい。取るに足らない道端の小石。何も持たない少女。選ばれない人間に。

(どうして……、どうして早く彼女を助けなければと急いている?)

 アレの助けを借りなければ。ウォロがこの場を離れようとした瞬間、

「チョッゲ!」

 カイの腕に抱かれていたトゲまるが手足をバタつかせた。気の抜けるような邪気のない鳴き声が場を和ませる。

「ど、どうしたんだ」

 戸惑うカイを見兼ね、ウォロは声をかけた。

「そのトゲピー、あの新人さんのトゲピーですよね?」
「ああ。怯えるわたしを勇気づけるために、あの子が抱かせてくれたんだ。今まで大人しかったのに、急に何が……?」
「……そのトゲピー、地面に降りたいのでは?」

 じたばたと暴れるトゲまるに何かを感じた。

「カイさん。ちょっとトゲピーを降ろしてみてください」
「分かった」

 カイの手を離れたトゲまるは、雪に足を取られながらある場所へ向かう。そして、「チョッゲプリィィィ!」と歓喜したかと思うと、そのまま雪をぺろぺろと舐め始めたではないか。

「なっ、トゲピー!?」

 カイの制止を気に留めず、トゲまるは少しずつ前進する。

「こら、やめなさい! 一体何がしたいんだ!」
「いや、ちょっと待ってください」

 ポケモンが急に、意味もなく雪を舐めるだろうか。

(ワタクシも同じポケモンを持っている。トゲピーは人間の赤子のような行動を取るが……) 

 それぞれ差があるのだろうが、睡眠と食欲に忠実なところは変わらない。

「失礼、誰か灯りを」

 提灯を借り、ウォロはトゲまるの後を追う。

「……」

 穴が開くほど地面を見つめたあと、その場に這いつくばった。トゲまると同じ視点で物を見る必要がある。目をすがめてみれば、何か光るものを感じた。

「はて」

 いつの間にか隣にノボリが来ていた。ウォロと同じ体勢で雪を観察している。

「気のせいでなければ光っていませんか」
「ええ、ジブンもそう思います」

 ウォロは立ち上がると、トゲまるより数歩先に進んで、微かに輝く雪から「何か」を掬った。指先が粘つく。匂いを嗅ぎ少しだけ舐めれば、口の中に独特の甘みが広がった。

「これは」

 ――ほら、お前の好物のミツをあげようね。
 ――最近入手したミツハニー印のハチミツを! “きらきらミツ”が好きならこれも好きかな?

「ハチミツだ」

 あの少女のトゲピーは、ミツが大好物だ。彼女はおやつとして頻繁にミツを与えていた。ウォロのトゲピーより肥え太ってしまうほどに。今、こうして舐めているのはそのハチミツではないのだろうか。

「もしかして、塗料の代わりなのか?」

 ハチミツは糖度が高く、水分がほとんどない。マイナス20度からマイナス25度でやっと凍るのだ。〈純白の凍土〉の現在の気温は、幸運なことに、ハチミツが凍る瀬戸際の数値であった。

 それらの知識を持ち合わせる者はこの場に誰もいない。重ねて言えば、新人の少女もそれらの知識があるわけではない。ただ、塗料の代わりになるものを。それだけしか頭になかった。

「新人さんはトゲピーのおやつとしてハチミツを携帯していました。もしかしたら、これを辿れば居場所が分かるかもしれません」

 カイの顔が明るくなる。ギンナンは少しだけ口の端を上げた。
 ひと筋の希望が見えてきた。隊に活気が戻ってくる。

「行こう」

 分厚い雲の隙間から、少しだけ月が顔を覗かせた。

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