ショートケーキは美味かったけど、イチゴを先に取られた許せん
※原作改変無理推しCPの学パロです
「……なんですかそれは」
「サンタクロースですが何か」
なんですかも何もないだろ。見ての通り、私はサンタクロースの格好をしている。
「ウォロ先パイ、これが他の何かに見えるんなら眼科行ったほうがいいっすよ」
「後輩さんは相変わらずジブンには厳しいですね」
ウォロ先パイはひくりと頬を引きつらせた。
「何故、そんな格好をしているんですか」
「ボランティア活動っすよー。近くの児童館でクリスマスパーティーがあるので、そのお手伝いを」
クラスメイトにお願いされたんだ。人手が足りなくて、猫の手も借りたいくらいだって。子どもたちと遊ぶのは嫌いじゃないし、引率の先生にも許可はもらっている。
空き教室でサンタの衣装に着替えてさあ行くぞ! ってところで、廊下でばったり先パイに出会った……というわけだ。ついでに言うと、先パイは後ろ手に何かを素早く隠した。なんだろうな、見られてまずいもんでも持ってんのかな。
「あっちで着替えたらいいのでは」
「いやあ、うちらで『サンタとトナカイの格好をして行ったら子どもたちも喜ぶよね』って話したもんで」
「……なるほど。だから、正統派のサンタクロースの格好なんですね。ご丁寧に白いヒゲまで付けて……」
先パイは私の衣装が気になるのか、何度も視線が上下する。興味あるのかな。私はサンタの衣装を指で摘んだ。
「着たいんですか」
「違います」
即答だ。
「せっかく着るのだったら、もっとこう……女性的な……」
「もっとこう……?」
「いや、なんでもないです」
なんでもあるだろ。私はウォロ先パイに向かって目を細めた。
「なんすか。時間ないので、もう私行きますね」
「後輩さん」
「ぐえっ」
行きかけたところで首根っこを掴まれてしまった。すぐに離してくれたが、もうちょい掴むところ考えてもろて。
「……ジブンも行きます」
「えっ」
だから、今日は珍しく雪が降ったのか? ボランティアに興味がなそうなウォロ先パイが志願するなんて……。
「えっ、大雪で電車止まったらやだなあ……」
「天気予報を確認しましたか? そんなことにはなりませんよ」
やれやれと首を振るウォロ。
「仕方ない。聖人君子のアナタに合わせて、ジブンもボランティアに参加します。内申点が上がりますからね」
「必要っすかぁ?」
先パイは先生たちからの覚えもいいし、成績も悪くないと聞いたことがある。内申点なんて青天井なんでは。
「いくらあってもいいんですよ、内申点は」
「まあ、そうかもだけど」
「同じ部活の先輩として、アナタを助けますね」
「いや、いらない」
「何か」
「圧をかけてくる!」
絶対おかしいよ。私の用事を聞いて一緒に行くなんてさ……。
私はウォロを観察してみる。顔がいいのはいつものこととして。
いつもと違うのは――片手に隠してる白い箱。なるほど。見覚えがありますなあ。
「先パイさあ」
「……はい」
「もしかして――」
「……」
ウォロ先パイが一瞬目を逸らした。
――なるほど。疑念が確信に変わる。
「クリスマス、独りぼっちで寂しいんでしょー?」
私の言葉を聞いた途端、ウォロ先パイが顔をしかめた。
「はい? 違いますよ」
「ふふん、女の子を片っ端からフリまくっちゃったから、クリスマスを一緒に過ごしてくれるカノジョがいないんすね?」
「なんでそんな解釈になるんですか違いますよ」
「暇そうな私まで予定あるからショックなんでしょ」
「いやまったくそんなことないですが神に誓って」
「早口になんなくていいですってー、このこの」
「肘でジブンをグリグリ押さないでください」
「先パイ、ツンデレは金髪ツインテールの美少女がやるから可愛いんですよ」
「ツンデレではありません」
はああ、と溜め息をついた横顔が、少しだけ寂しそうに見えた。
「……アナタがそういう人なのは知ってましたが。ラノベの鈍感系主人公のことを笑えませんよ」
「にゃにおう!」
多分、気のせいだと思うけど。てかラノベ読むんか、先パイ。
「おーい――」
廊下の向こうでクラスメイトが手を振っている。なかなか現れない私を呼んでいるんだろう。
ウォロ先パイが、今度は私の手を掴んだ。
「ほら、行きましょう。遅刻ですよ、サンタクロースさん」
「誰のせいなんすかねえー」
そして、先パイも詰めが甘い。先陣を切って歩くもんだから、隠していた白い小さな箱が、私に丸見えになっちゃってる。
「……しゃーねーなー。後で食べてやるかぁ」
今年のクリスマスケーキは、ウォロ先パイの買ってきたケーキで我慢してやろ。
ーーーーーーーーー
ウォロの 夢主への ???が 10 上がった▼
【終】