不死鳥のごとく、燃え上がれ④
「ねえ、それ下手したら迷惑客じゃない!?」
「うっ! そ、そうなるのかな……」
デウロの声が大きくて、は辺りを見渡した。カフェの客たちの目線が気になったのだ。
「ご、ごめん。声大きかったかな。でも、下手したら迷惑客だよ……」
カフェ・スラロームは、チョコタルトが美味しい店だ。コーヒーも手頃なので、はヌーヴォカフェの次に気に入っている。
今日、このカフェを指定したのは、友人のデウロだった。
デウロとの出会いは、互いの共通の友人を通してだった。は歌手、デウロはプロダンサーと、同じく夢を追うものとして意気投合し、今では時間が合えばカフェ巡りに興じるほどの仲である。
デウロはコーヒーをひと口啜ったあと、静かに溜め息をついた。
「毎日『好きです』はダメだよ、さすがに」
はこれまでの行動を思い返し、肩をすくめた。
「でもね、商品ができるまでの間だったし……。忙しい時間帯は避けたし、その……」
「それ、毎日なの?」
「ううん、週3」
「それでもちょっとなあ」
「ダメ、かあ」
「うん……」
グリに2回目の断りを入れられてから、なんとなく行きづらくなり、2号店、3号店へ足を向けるようになった。そちらはの居住するシェアハウスからは遠いので、頻度は週1のペースに落ちている。
「まあ、グリさんは落ち着いていて、大人って感じだけど。あたしたちより歳上だよ。付き合いたいの、」
「へ、付き合う?」
目を丸くして問い返す。
「いや、付き合いたいとかじゃなくて」
「ええっ!?」
デウロが悲鳴にも近い声を上げたため、隣のの席の客が咳払いした。彼女は「あっ、ごめんなさい!」と謝ったあと、声を潜めてに問う。
「そこまで好き好き言っといて、何で付き合いたくないの?」
「何でって言われても。私は、私の心の中の風船が破裂しないようにね……」
「それ、たまに言うけどさ、どういう意味?」
グリーズにも風船のことは訊かれた。
(皆、心の中に風船を持ってないの? どう答えたらいいかな)
は少し考えつつ、
「綺麗なものとか、可愛いものとかを見るとエネルギーになるじゃない。それが、風船の中身なの。今はそれの素がグリさんで……」
と、答えた。